DV被害を受けた女性と子供たちへの支援

2010年2月13日 (土)

DV被害を受けた女性と子どもたちへの支援④

DV被害者の方を対象にした就労支援講座で、まず最初にすること。J0337404

それは、次の「3つの約束」についての説明です。

1.言いたくない事は言わなくて良い

講座の中で、自己紹介したり、これまでしてきた仕事や、これから就きたい仕事の事を話してもらう事があります。私から質問することもあるし、グループディスカッションの中で、お互いに意見を言いあうこともあります。そうした時、「そのことを話すと辛くなる」とか、「今日は参加するだけで精いっぱい、とても話ができる状態ではない」という事もあるでしょう。そんな時には、「パス!」と言ってOKです。パスは、何回まで、という制限なしですから、何度でもパスして良いのです。言いたくない事は言わない、というルールです。

2.聞きたくない事は聞かなくて良い

他の参加者が語り出した事が、自分にとって「聞くとつらくなる」場合もあります。フラッシュバックしたり、泣きたくなったり、苦しくなったり。そういう時には、無理に座っていなくてOK。トイレに行ってもいいし、部屋を出て休んでも良いし、飲み物を買いに行っても良いのです。具合が悪くなった時には、スタッフに一声かけて下さいね。スペースがあれば、ヨコになってもらってもかまいません。

3.ここで聞いたことは誰にも言わない

安全、安心に講座を受けるために、参加者ひとりひとりが語った個人的な事は、部屋を一歩出たら、誰にも言わない約束です。

講座を受講する、しかも「就労支援」などというカタイ名前のついた講座に参加するとなると、申し込むだけでも勇気が必要だったりします。でも、最初にこの約束について説明すると、皆さん、一様にホッとした表情に変わります。この約束の元でなら、安心して自分の事を語れる。。。そんな雰囲気が生まれます。

多くの方が具体的に自分がおかれている状況について話して下さるようになり、こちらも、それに即して役立つ情報提供をさせて頂くことができます。

安全に、安心して参加できること。これがとても大切な講座の条件です。

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2010年2月 6日 (土)

DV被害を受けた女性と子どもたちへの支援③

DV被害女性の就労支援を行う上で、支援者が知っておくべきことの1つは、「女性たちの自己評価が非常に下がっている」、ということです。Icenomi02

就労支援の場では、どんな仕事に就きたいか、これまでどんな仕事をしてきたか、といった話をまず聞くわけですが、多くの場合、「何も出来ない」「大したことはしてきていない」「私はぜんぜんダメです」といったような答えが返ってきます。

でも、鵜呑みにしてはいけません。彼女たちは、「何も出来ない、かよわい、助けてあげなくてはならない存在」では、実は決してありません。

きちんと人生を生きてきた、ちゃんと自立するチカラをもった、尊厳ある女性たちです。

しかし、長年、暴力にさらされて、「お前はダメだ」「誰のお陰で食べさせてもらっていると思っているんだ」などと言われ続け、自己評価がドンドン下がってしまった状態にあるため、「何も出来ない」と答えてしまっているのです。

すごいスピードでタッチタイピングをこなし、あっという間に文書を仕上げる能力があっても。

TOEIC900点以上、ネイティブ並みの英語力があっても。

簿記検定1級、経理経験も豊富に持っていても。

1級建築士の資格があっても。

薬剤師の免許があっても。

一部上場企業で10年も実務キャリアがあっても。

みなさん、「私は何も出来ない」とおっしゃる。

1つ1つ、丁寧に、これまでやってきた仕事や経験を、聞いて行って下さい。そして、1つ1つ「それは素晴らしい経験ですよ」「自信を持って良いキャリアですよ」と、言葉をかけて下さい。

時間がかかるかもしれませんが、「そうだ、私には、力がある!」と女性たちが気がつく事が、まず大事です。「そうだ、私、これができる」と気付いても、1日2日と時間がたつと、また「やっぱり駄目」と、元に戻ってしまうのも当然のこと。そうしたら、また、「自信を取り戻す」作業を根気よく続けていきます。等身大の自分が見えなくなり、自分を過小評価してしまっている状態です。「ホントの自分」を見つけていく作業は、支援者ナシでは難しいものです。就労支援といっても、仕事の探し方から入るのでなく、まずはここからスタートです。

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2010年1月18日 (月)

DV被害を受けた女性と子供たちへの支援②

前回、DV当事者女性にとって、「子供たちの心の傷をいやすための時間」を確保した働き方が必須、というお話をしました。 今回は、当事者、ご本人の心の傷についてお話します。

多くの方が、一見、「元気で普通」です。そう見えます。明るくパワフルで朗らかに見える方も少なくありません。それで、「あ、もう心の傷は回復しているのね、すぐに働けそうね」という印象を受けるのですが。。。

違うんです。Yun_3494

松葉杖をついているわけでも、車いすにのっているわけでも、包帯をしているわけでもないので、分かりにくいのですが。

心はボロボロの状態です。

深く傷ついて、血がダラダラ流れています。

目に見えれば良いのですが。。。ご本人さえ、その傷の深さに気づいていないケースも多々あります。

どんなにボロボロの状態でも、「元気そうにふるまう」ことが板についてしまっているんです。それが、彼女たちが生き延びていくための、必須スキルだったからです。

ひどい暴力を受けて、救急車で運ばれることになっても。翌日は、夫の前でにっこりほほえんで、「行ってらっしゃい」と言わなくては生き延びていけなかった。そのため、一般の人には見抜くことが難しいぐらい、「役者」です。辛くても苦しくても、笑顔を作れるのです。

ですから、最初から、フルタイムの仕事をお勧めするのは反対です。とにかくリハビリのつもりで、少しずつ、が鉄則。ご本人は「がんばる」とおっしゃるかもしれません。でも、そこでフルタイムで働き始めて、体を壊して退職、という例をいくつも見てきました。

ゆっくり、ゆっくり、ゆっくり行きましょう!

それが結局は近道です。

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2010年1月12日 (火)

DV被害を受けた女性と子供たちへの支援①

キャリアコンサルタントの仕事を始めて、8年。Collarpencil04wh

最もやりたかった仕事が、ドメスティックバイオレンスの被害を受けた女性の就労支援です。現在、都内の男女共同参画センターやNPO団体などで、この、もっともやりたかった仕事を任せて頂いています。8年間を統括して、文章にまとめてみては?と、尊敬するメンターの方にアドバイス頂きました。一気に長い文章を書く時間を作るのは難しいので、このブログに少しずつ書きためていこうと思います。本日は、その第一弾です。

タイトルを「DV被害を受けた女性と子供たちへの支援」としたのは、お子さんがいらっしゃる場合、当事者女性だけを見て支援する、というのが不可能だからです。それでは支援としては、全く不十分。お子さんも傷ついていることを忘れてはいけません。たとえ、お子さんには暴力が及んでいなくても。暴力シーンを目撃していなくても。同じ家の中にいて、気がつかない訳はありません。影響がない訳もありません。どんなに幼くても、です。

幼い子でも、家庭の中の、ピリピリしたムード、お母さんの恐怖や不安をキャッチします。「うちの子は大丈夫」という例外は、私がかかわったケースでは、「ゼロ」です。

悲しい気持ち、怖い気持ち、不安な気持ちを感じながらも、子供たちは小さな心に「ふた」をシッカリ閉めて、耐えています。安全な場所に来て、さぁ、これで大丈夫、お母さんもお仕事みつけて働けるね、という状況になり、色々な事が前に進み始めるころ、ようやく安心して「SOS」を出し始めるケースがとても多いです。

家庭内暴力。夜尿。チック。自律神経失調。不登校。人間関係をうまく築けず、いじめにあう事もあります。お母さんだけで対応することは、困難です。専門医、カウンセラー、児童相談所などの助けを借りて、子供の心の傷をいやしていくことになります。

ですので、最初から、子供のケアに時間を割くことを念頭においての就労支援になります。

「さあ、保育園も決まって、もう働けるでしょ?母子家庭なんだから、がんばらなきゃ。早く仕事みつけて頑張りなさい!!」という支援は、違うのです。DV被害者の就労支援を担当する方にはぜひ知っておいて頂きたい大切なことなので、タイトルにも「子供たちへの支援」を入れた、という訳です。

第一弾はこのへんで。

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